Abstract：症例1、80歳女性。無症候性肉眼的血尿から当院受診。造影CTにて左腎に造影剤による早期濃染、wash outを呈する長径80mm大の腫瘍とそれに連続して下大静脈腫瘍塞栓とさらに近傍に血栓症が存在していた。左腎細胞癌・下大静脈腫瘍塞栓と診断し手術方針となったが、術直前に撮影したCTで腫瘍塞栓は肝静脈下までの進展が認められた(Level II)。このため腫瘍縮小目的にネオアジュバント療法として分子標的薬および血栓溶解療法を先行させることとした。Sunitinibが奏功し腫瘍の肝臓下縁までの縮小を認めたが、Grade 3の血小板低下を認めた。血小板の回復後、Axitinibに変更し治療継続して手術を実施した。病理はRCC、clear cell carcinoma、Grade 1〜2、pT3bであった。術後20ヵ月経過したが再発・転移は認めていない。症例2、55歳男性。2016年5月肉眼的血尿から近医を受診。画像上左腎腫瘍が疑われ当科紹介となった。造影CTでは左腎に長径42mm大の腫瘍を認め、造影剤による早期濃染、wash outを呈していた。腫瘍は左腎静脈から肝下縁上にまで進展しており(Level II)、血栓の存在も疑われた。腫瘍縮小・血栓溶解を図りWarfarinとSunitinib内服を開始し、腫瘍の肝臓下縁までの縮小を認めた時点で手術を実施した。病理結果はClear cell carcinoma、G3>2、pT3bと診断された。術後11ヵ月間で再発転移を認めていない。2例とも術前に抗凝固剤と分子標的薬を使用し腫瘍縮小と血栓の消失が得られ安全に手術することが可能だった。(著者抄録)

Abstract：症例は47歳男性。無症候性肉眼的血尿から前医受診。膀胱鏡で膀胱腫瘍が認められ加療目的に当院紹介受診された。2016年にTURBTが施行され、病理所見はSmall cell carcinoma with Urothelial carcinoma、ly1、v1、pT2a、水平断端陽性という結果であった。画像検査では明らかな転移等は認められず限局型膀胱小細胞癌と診断した。Neo adjuvant ChemotherapyとしてIrinotecan、Cisplatin併用療法(以下IP療法。Cisplatin 60mg/m2、day1、Irinotecan 60mg/m2、day1、8、15)を2コース施行後に膀胱全摘・新膀胱造設術を実施した。全摘検体に明らかな腫瘍の残存は認められなかった。術後8ヵ月経過したが明らかな再発は認めていない。(著者抄録)