Abstract：全身性毛包虫症に罹患した犬[ポメラニアン、雄(去勢手術実施済)、9ヵ月齢]に対して、ミルベマイシンオキシムのチュアブル製剤('ミルベマイシン錠「フジタ」'、フジタ製薬株式会社)の連日の経口投与を有効成分として0.9〜2.8mg/kgの用量で次第に増量して約2ヵ月間にわたって行うとともに、イヌインターフェロン-γ(組換え型)製剤('インタードッグ'、東レ株式会社)をその用法および用量にしたがって、1回の投与につき1万単位の用量で週3回、4週にわたって皮下注射した。その結果、ミルベマイシンオキシムの投与量が2.5mg/kgを超え、イヌインターフェロン-γ(組換え型)製剤の投与が終了して以降、ニキビダニは検出されなくなり、皮膚症状が治癒するとともに、脱毛部位に発毛がみられた。(著者抄録)

Abstract：犬と猫に対してフタトゲチマダニの未吸血雌成ダニの実験感染を行った。犬では比較的良好に寄生が成立したが、猫の場合はマダニを齧り取る様子が観察され、少数のマダニが寄生したにすぎなかった。しかし、猫がマダニを齧り取る行動を抑制した条件下では、犬と同程度の寄生が認められた。このことから猫はマダニの非好適宿主であるとはいえず、猫についてもマダニ寄生の予防を推奨すべきであると考えた。また、猫用の各種の外部寄生虫駆除薬について猫に寄生するマダニに対する駆除効果を検討し、フィプロニルを含有する薬剤が著効を示すことを確認した。(著者抄録)

Abstract：イベルメクチンとピランテルパモ酸塩を有効成分とするチュアブル製剤である'カルドメックチュアブルP'(メリアル・ジャパン株式会社)の後発動物用医薬品として開発された'イベルメックPI'(フジタ製薬株式会社)に対する犬の嗜好性を検討した。供試犬200頭を無作為に1群100頭の2群に分け、有効成分を含有する製剤の投与に続いてその偽薬(プラセボ)製剤を投与する群および偽薬製剤の投与に続いて有効成分を含有する製剤を投与する群とした。そして、それぞれの犬の鼻先に各製剤を提示し、犬が自発的に摂取するまでの時間(秒)を測定した。その結果、198頭が21秒以内に有効成分含有製剤、17秒以内に偽薬製剤を自発的に摂取し、有効成分含有製剤と偽薬製剤の摂取までの時間に統計学的に有意な差は認められなかった。この自発摂取状況は、犬の間食(おやつ)用のドッグフードとして販売されているビーフジャーキーやポークジャーキー、鶏ささみジャーキーにおけるものと同等以上に良好であった。以上のことから、本チュアブル製剤に対する犬の嗜好性はきわめて高く、容易に犬に投与することができると結論した。また、偽薬製剤は、この薬剤に対する個々の犬の嗜好性を確認するために有用であると考えた。(著者抄録)

Abstract：動物病院において診察せずに薬剤を処方することは、要指示医薬品に限らず、「獣医師法」に反する。また、医薬品の販売業の許可を受けずに、待合室等に医薬品を陳列し、販売することは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に抵触する。動物の飼い主が海外の会社から要指示医薬品を輸入する際には、獣医師の処方または指示を受けている必要があり、さらに、海外の医薬品の利用には多少のリスクが生じる可能性があることに注意すべきである。(著者抄録)