Abstract：スクリーニング(SCR)検査を実施し、選定基準に該当した97名を対象とした。被験食品には、ブロッコリースプラウト抽出物(BSE)、コーンスターチ、デキストリン、たまねぎ粉末、しょうが粉末、パセリ粉末、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、結晶セルロース、ステアリン酸カルシウムを原材料として用いた。プラセボ食品(P)は、被験食品からBSEと賦形剤として使用されているデキストリンを除いた以外は同じ原材料を用いた。主評価項目の全項目(ALT、AST、γ-GTP)で実測値・変化量ともに群間で有意差がなかった。また、群内での比較でも有意な変動を示したものはなかった。副次評価項目の結果も同様で、変化量は群間で有意差がなかった。ChEの有意な改善は認めなかった。24週間の長期摂取においてBSEを含むサプリメントは安全性に問題を生じないことが示された。壮年(30〜44歳)と中高年(45〜64歳)とに層別して有効性の解析を行い、壮年においてBSEによる肝機能改善効果は確認できなかった。中高年は、ALTの実測値、変化量ともにBSE群が有意に低値を示した。

Abstract：2012年度に行った初回診断時の肝癌非合併アルコール性肝硬変(ALD-LC)患者1005例と、2014年度の初回診断時のアルコール性肝癌(ALD-HCC)患者333例におけるALD-HCCの背景因子のアンケート調査結果を比較検討した。平均年齢は、ALD-LCが60.7歳に対し、ALD-HCCは69.8歳であった。両群とも男性が多いが、ALD-HCCのほうがより男性の割合が多く、94%を占めた。飲酒量は、どちらも65歳以下の方が多いが、65歳以下のALD-LCで著明に1日飲酒量が多かった。ALD-LC、ALD-HCCともに、66歳以上でBMIが低く、ALD-LCは、ALD-HCCに比して低かった。糖尿病の有病率は、ALD-LCではALD-HCCよりも低かった。肝予備能は、TBはALD-LCでALD-HCCより高く、Alb、PT(%)はALD-LCでALD-HCCより低かった。ALD-HCCでは、65歳以下で66歳以上より、TBはより高く、PT(%)は低かった。腹水、肝性脳症の程度や頻度も、ALD-LCでALD-HCCより高かった。

Abstract：86歳女性。子宮体癌に対する放射線治療中に大量の血便が出現し、精査加療目的で近医より当科へ紹介となった。血液検査では著明な貧血を認め、腹部造影CTではS状結腸から直腸にかけて浮腫状の粘膜肥厚が認められた。大腸内視鏡所見よりGrade Ibの放射線性腸炎と診断され、第1病日目に出血部位に対し、アルゴンプラズマ焼灼術(APC)を行った。しかし、第2病日以降も血便は持続し、貧血の進行も続いているため、赤血球濃厚液の輸血を行った。第5病日目には再度APCが施行されたが、十分な止血が得られず、ベタメタゾン注腸を開始した。その結果、第6病日目より出血量は減少し、貧血の進行もみられなくなった。以後、第14病日目の大腸内視鏡で、放射線性腸炎はGrade 0bまで改善し、第20病日目に退院となった。

Abstract：当院のアルコール診療では、精神科がアルコールや薬物依存のプログラムを持ちあせてないこともあり、純粋の依存症による精神症状で精神科が加療するケースは少なく、アルコールに起因した消化器症状が前面にたち、消化器内科に入院するケースが多い。消化器内科全体でも、リピーターを含めアルコール関連疾患が多く、アルコール診療の重要性を示唆する。一方で臨床的に問題になるのは、レジデントを含め、アルコール飲酒の問診が不十分な点にある。離脱症状の管理やアルコール依存症自己診断(CAGE)テストでさえ理解せずに診療しているケースが多い。コメディカルにおいてはさらに深刻で、以前のトラウマからかアルコール患者に対して敬遠する傾向もあり、アルコール診療に対する固定観念の変革が不可欠である。困難を極めるのは患者背景を加味した上で、いかに今後断酒できる環境整備が出来るかという点にある。当院の取り組みとして、内科・精神科間の連携を強化し、内科入院早期の段階で、精神科にコンサルトしメンタルケアの介入を行っている(アルコール多飲歴入院患者の約20%で実施)。医師、ケースワーカー、精神看護専門の看護師などで構成されたリエゾンチームにより回診が行われ、症例によっては内科加療に目途がついた時点で精神科に転科し2週間程の教育入院を引き続いて行う場合もある。その後精神科医の判断で、アルコール症センターに教育入院を依頼するケース、近医のアルコール診療クリニックに依頼するケース、当院で消化器内科外来と並行して精神科フォローするケースなどがある。このようにアルコール診療においては、1内科診療医の裁量では限界があり、精神科との強い連携をとり、看護師、保健師を含めた包括的な診療体制の構築が必要であると考えられた。(著者抄録)

Abstract：高周波通電を行わないcold polypectomyが,小型のポリープ摘除法として普及しつつある.CFPは,鉗子を用いたcold polypectomyであり,カップの大きなJumbo鉗子を用いることで,5mmまでの微小腺腫が簡便,迅速,安全に切除可能で,切除標本の回収も100%である.これまで後出血や穿孔の偶発症の危険性はほとんど報告されていないが,高周波通電によるburning effectがない分の局所再発を抑制するには,Jumbo鉗子の使用で一括切除率を担保し,病変摘除直後のwater-jet機能を用いたタンポナーデ形成とNBIなどの画像強調内視鏡を用いた切除直後の遺残の確認が必須と考える.これにより,今後,抗血栓療法中患者を含め,CFPが広く適応されることを期待する.(著者抄録)