Abstract：＜ポイント＞・基礎疾患の有無により単純性または複雑性腎盂腎炎と診断し,初期抗菌化学療法を開始するが,複雑性腎盂腎炎では基礎疾患の治療も同時に行う.・qSOFAにて尿路性敗血症と診断した場合には,集中治療管理とともに初期抗菌化学療法および基礎疾患の治療を行う.・治療前に尿培養を行うとともに,ほかの熱源精査も行う.(著者抄録)

Abstract：＜ポイント＞尿路感染症はまず単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症に分けて考える。単純性尿路感染症原因菌の多くは大腸菌であり、耐性菌も少ない。複雑性尿路感染症は多種多様の原因菌かつ耐性菌も多い。急性精巣上体炎では若年者はクラミジア、それ以外は一般細菌を想定する。急性前立腺炎原因菌の多くはグラム陰性桿菌である。尿道炎では淋菌とMycoplasma genitaliumの薬剤耐性化がいちじるしい。(著者抄録)

Abstract：＜Point＞本ガイドラインでは17疾患を扱うが,頻度が高く薬剤耐性が問題となっている疾患は尿道炎である.尿道炎の診断では,まずは淋菌性尿道炎と非淋菌性尿道炎に大別する.淋菌の検出には鏡検法,培養法および核酸増幅法検査があるが,鏡検法は正確かつ最も迅速である.淋菌とマイコプラズマ・ジェニタリウムの薬剤耐性化が著しく,治療困難となりつつある.(著者抄録)

Abstract：淋菌感染症は淋菌による感染症の総称であり,代表的疾患は淋菌性尿道炎と子宮頸管炎である。淋菌感染症は2002年頃をピークに減少しているが,2008年頃からは多少の増減はあるもののほぼ横ばいである。抗菌薬の適正使用のためには正確な診断が必要であり,淋菌の検出法として,鏡検法,培養検査および核酸増幅法検査がある。鏡検法は煩雑であるが,もっとも迅速であり感度も高く,培養法は薬剤感受性が併施でき,核酸増幅法検査のみがクラミジアを同時に検出できる。したがってベッドサイドで正確な診断が可能な鏡検法の施行が勧められる。すでに淋菌は各種抗菌薬に耐性を獲得している。わが国においても,ペニシリン,テトラサイクリン,キノロン,経口セファロスポリンやマクロライドの耐性率は高い。そのため現在,CTRX(セフトリアキソン)とSPCM(スペクチノマイシン)のみが推奨薬となっている。海外のガイドラインはCTRXとAZM(アジスロマイシン)のdual therapyが推奨されているが,synergy効果はなく,また各々の容量が少なく推奨できない。(著者抄録)

Abstract：当院および関連施設で外科的治療を行った陰茎癌患者17例(平均年齢72.5歳)を対象に、HPV感染の役割と発癌メカニズムについて検討した。その結果、HPVは7例から検出され、その内訳は16型が5例、33型が1例、68型が1例であった。ISH法では、HPV陽性7検体のうち6検体で腫瘍細胞核内に、びまん性にHPV-DNAのシグナルが確認された。ISHの染色パターンは、ドット状にシグナルを呈しているものが多かった。p16-INK4aの発現に関しては、HPV陽性例では5例に発現を認め、強陽性が2例、中等度陽性が1例、軽度陽性が2例であった。一方、HPV陰性例ではp16-INK4aの発現は弱かった。また、HPV-L1の発現はHPV陽性例、陰性例に関わらず、全ての症例でみられなかった。今回の検討から、陰茎癌患者の41%からHPVが検出されたことからも、HPV感染が発癌に関連している可能性が示唆された。

Abstract：＜Points＞尿路感染症で注意すべき薬剤耐性菌はキノロン耐性菌、ESBL産生菌およびカルバペネム耐性腸内細菌科細菌である。薬剤耐性菌を想定するのは複雑性尿路感染症であり、初期治療薬は比較的広域の抗菌薬を使用する。治療開始前に尿培養をオーダーすることが必須である。結果が判明次第、適正な抗菌薬への変更や可能な限りde-escalationを行う。淋菌性尿道炎に対しては淋菌咽頭感染も考慮してセフトリアキソン1g単回投与を行う。マイコプラズマ・ジェニタリウム性尿道炎に対してはアジスロマイシンおよびシタフロキサシンが推奨されている。実際には初期治療として非淋菌性尿道炎の治療として用いられた薬剤以外を使用する。(著者抄録)